【評価ツール】WCST風のカード分類課題「Card Sorting Task」で前頭葉機能・認知的柔軟性をチェック!Webアプリを作りました

高次脳機能障害や認知症のリハビリに関わる中で、患者さんが「一度覚えたルールから抜け出せない」「同じ間違いを繰り返してしまう(保続)」という場面によく直面しませんか?

前頭葉の機能である**「実行機能(特にセットの転換・思考の柔軟性)」**を評価することは、今後のリハビリ方針や日常生活への適応を考える上で非常に重要です。 しかし、実際の臨床現場では、専用の検査キットの準備や、複雑なエラー(保続)の採点作業に時間がかかり、頻繁に評価を行うのが難しいという課題がありました。

そこで今回、タブレットやスマホのブラウザ上から手軽に実施でき、エラーのタイプまで自動で分類・分析してくれる無料のWebアプリ**「Card Sorting Task(カード分類課題)」**を自作しました!

🧠 アプリの概要と特徴

このアプリは、ウィスコンシンカードソーティングテスト(WCST)などの古典的な神経心理学検査のアルゴリズムをベースにした、ルールの切り替え(セット転換)能力を評価するツールです。

【おすすめポイント】

  • 準備ゼロですぐに使える: 物理的なカードを並べる必要はありません。URLにアクセスするだけで、患者さんのタブレット上ですぐに検査を開始できます。
  • 視覚的なノイズを排除: 患者さんが純粋に「色・形・数」のルールだけに集中できるよう、余計な文字情報を削り、直感的にカードの図形そのものをタップできるUIにこだわりました。
  • 面倒な「保続」の採点を完全自動化: テスト終了後、以下のエラーを自動で分類し、結果画面でグラフ化します。
    • ミルナー型保続: 過去の成功体験(前の正解ルール)から切り替えられないエラー
    • ネルソン型保続: 直前の自分の行動(直前の間違い)から抜け出せないエラー
    • セット維持困難: 注意が逸れてルールを忘れてしまうエラー
  • 詳細ログのCSV出力対応: 試行ごとの正解率の推移や全試行のログを出力できるため、カルテ記載や症例報告のデータ整理が圧倒的に楽になります。

\ 遂行機能・セット転換を評価! /

🎯 Card Sorting Task を使う

※iPad・PC・スマホ(iPhone含む)の全端末に対応
※保続のタイプ(ミルナー・ネルソン等)を自動判定します

🗣️ 【重要】患者さんへの声かけ(教示)のポイント

この課題は「未知のルールを自分で見つけ出す」ことが目的のため、事前の練習は行いません。また、「色・形・数のルールがあること」や「途中でルールが変わること」は絶対に教えないでください。

▼ 声かけの例 「上に4枚のカードがあります。今から下に出るカードを、上の4枚のどれか『仲間だ』と思うところにタッチして合わせてみてください。 なぜ仲間なのか、そのルールは言いません。タッチすると『正解』か『不正解』かが出るので、それを見ながら自分でルールを見つけてみてくださいね。」

※最初は患者さんが戸惑うかもしれませんが、ヒントは出さずに「まずはどれか選んでタッチしてみてください」と促してスタートしてください。

💡 臨床での「正しい」使い方と解釈

1. カットオフ値の目安について

一般的な成人〜前期高齢者の遂行機能障害(前頭葉機能低下)を疑う客観的な目安として、**「達成カテゴリー数が3以下」「保続性のエラーが合計10回以上」**という基準がよく用いられます。

※ただし、本アプリは患者さんの疲労を考慮し、最大128回ではなく64回の短縮版として設計しています。そのため、上記の基準値を厳密な確定診断には使わず、あくまで「前頭葉機能低下の強いサイン」として捉え、リハビリの経過観察(個人内評価)にご活用ください。

2. ルール変更直後の「避けられないエラー」について

ご自身でテストプレイしてみると、「急にルールが変わった時、どうしても1〜2回は間違えてしまう」ことに気づくと思います。結論から言うと、これは健康な脳でも当たり前に起こる正常な反応です。

  • ① 1回目のエラー(🔴 ミルナー型保続にカウント): ルール変更直後は当然「今まで正解だったルール」で分類しようとするため、一旦ミルナー型に分類されます。
  • ② 新しいルールを探すエラー(⬜ 非保続性エラーにカウント): 不正解に気づき、別のルール(例:形)を試したものの、本当の新ルール(例:数)とは違って不正解になった場合。これは「新しい正解を探すための健全な探索」であるため、非保続性エラー(その他)に分類されます。

健康な脳であれば、「ミルナー(1回)→ 非保続性(1回)→ 正解!」とすぐに新しいルートを見つけ出します。つまり非保続性エラーが数回出るのは、むしろ**「一生懸命新しいルールを探そうと頭を切り替えている柔軟性の証拠」**です。

逆に機能が低下していると、ルールが変わっているのに「ミルナー型」や「ネルソン型」が何度も異常な回数で出続けることになります。回数だけでなく、こうした**「エラーの質」**に注目してみてください!

⚠️ ご利用にあたっての免責事項

本アプリは、古典的なカード分類課題(Card Sorting Paradigm)のアルゴリズムを参考に独自に開発したオリジナルツールであり、特定の公式検査キット(WCST等)を代替するものではありません。 あくまでリハビリテーションにおける定性的な観察や、認知的柔軟性のトレーニング・自主トレをサポートするための補助ツールです。医学的な「確定診断」を下すためのものではない点をご理解の上、ご活用ください。

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日々の臨床やご自宅でのリハビリにお役立ていただけるよう、さまざまなツールを無料で公開しています。ぜひ併せてご活用ください!

日々の臨床のちょっとした手間を減らし、患者さんの状態をより深く理解するための一助になれば嬉しいです。ぜひ現場のタブレットで一度試してみて、ご感想やフィードバックをいただけると励みになります!

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