こんにちは、たま助です。
全国の言語聴覚士(ST)の皆さん、日々の臨床やプリント教材づくり、本当にお疲れ様です。
高次脳機能障害や認知症、失語症のリハビリにおいて、「計算課題」は定番中の王道メニューですよね。 計算(特に暗算や繰り上がりのある計算)は、単なる「数字の処理」にとどまりません。頭の中の作業台に数字を一時的に置いておく**「ワーキングメモリ」、途中で集中を切らさない「持続的注意」、そして手順通りに処理を進める「遂行機能(前頭葉機能)」**を総合的に動員する、極めて優れた認知トレーニングです。
だからこそ、患者さんの脳のダメージや残存機能に「ピタッと合った難易度」を提供することが重要になります。100円ショップのドリルや市販のパズル本では、難しすぎて怒らせてしまったり、逆に簡単すぎて飽きられてしまったりしますよね。
そんな現場の悩みを解決するために私が開発した**「設定自在の計算ドリル作成ツール」を、今回大幅にアップデートしました! これまでの「プリント一括作成機能」はそのままに、タブレットやスマホの画面上で直接入力してその場で結果が出る「インタラクティブ採点モード」**を新搭載しました。
※タップすると別のタブで開きます(ブラウザ上で動きます)


市販のドリルじゃダメな理由。STがこだわった3つの機能
リハビリ現場で「本当に欲しい機能」を、STの視点から徹底的に詰め込みました。
特徴1:【新機能】画面で解いて、一瞬で「自動採点」 新しく追加された「画面で解く」モードでは、空いたマスをタップしてスマホやタブレットのキーボードから数字を入力するだけで計算が進められます。 すべての問題を解き終えて「採点する」ボタンを押すと、正解は緑、間違いは赤で瞬時にフィードバック。正答率も自動算出されるため、患者さんをお待たせすることなく、「すごい!100点満点ですよ!」とその場ですぐにドーパミン(達成感)を引き出すことができます。
特徴2:無誤謬学習を叶える「ST仕様」の細かな難易度設定 ここが市販のドリルとの最大の違いです。患者さんの状態に合わせて、以下の調整がチェックボックス一つで可能です。
- 「繰り上がり・繰り下がり」のON / OFF
- 四則演算(+・−・×・÷)の自由な組み合わせ
- 桁数(1桁〜2桁)の設定
認知症や高次脳機能障害の方にとって、「何度も間違えること(エラー体験)」はプライドを傷つけ、リハビリ拒否の大きな原因になります。まずは「繰り上がりなしの1桁の足し算」に設定して、**「絶対に間違えないレベル(無誤謬学習:エラーレスラーニング)」**からスモールステップで始めることで、「自分はまだやれる!」という自己効力感を確実に育むことができます。
特徴3:用途に合わせて「紙」と「デジタル」を使い分け
- デジタルで: ベッドサイドやリハビリ室で、iPad等を使って「今日の脳トレ」として。
- 紙のプリントで: 「次のリハビリまでの宿題」として、A4用紙に一括印刷。 一つのツールで、臨床のあらゆるシーンをカバーできます。
明日からの臨床で使える!症状別の活用アイデア
このツールは、設定の工夫次第で様々な高次脳機能障害へのアプローチに化けます。
- 【重度の注意障害・記憶障害へのアプローチ】 とにかく「成功体験」を積ませるため、繰り上がりなしの足し算に設定します。画面モードを活用し、「10問解くのに何秒かかったか(処理速度)」をストップウォッチで計測します。「昨日より5秒も速くなりましたよ!」とフィードバックすることで、処理スピードの向上と意欲アップを狙います。
- 【軽度の遂行機能障害(柔軟性の低下)へのアプローチ】 足し算、引き算、掛け算、割り算を「すべてミックス」して出題します。 前の問題が足し算でも、次の問題は掛け算かもしれない。この「その都度ルールを確認して、頭のスイッチを切り替える」という作業は、前頭葉の『認知的柔軟性(セットシフティング)』を極限まで鍛える高度なトレーニングになります。
- 【病棟・自宅での自主トレ支援(残業ゼロへ!)】 「まとめて10枚作成」機能で生成されるプリントは、ボタンを押すたびにすべて違う数値で問題が作られます。解答集もセットで自動出力されるため、病棟の看護師さんやご家族に「丸付けお願いします」と協力依頼を出すのも非常にスムーズです。
おわりに
「患者さんのレベルに合う問題を考え、Wordでプリントを作り、電卓を叩いて丸付けをする」。 この事務的な時間をツールの力でゼロにできれば、その分もっと患者さんの表情を観察したり、ご家族の悩みを聞いたりする「本来のSTとしての対面時間」にエネルギーを注げるようになります。
私が作ったこの小さなWebアプリが、日々の教材作りに追われる全国のSTの皆さんの「最強の相棒」になれれば幸いです。 「こんな機能を追加してほしい!」などのご要望があれば、ぜひコメント欄で教えてください。どんどんアップデートしていきます!
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